ライフイベントの中でも住宅購入に続いて大きな支出となるのが、子どもの教育費。一概に教育費といっても、公立なのか私立なのかでも費用に大きな差が出てきます。ここでは、子どもにかかる教育費と、必要な準備などについて解説をしていきます。
大学まで公立でも1人あたり810万円かかる
「子どもには十分な教育を受けさせてあげたい」と親なら誰もが思うもの。だからこそ教育費については、早めにきちんと考えておく必要があります。例えば、子どもが幼稚園から大学まですべて公立に進学したとすると、大学までの合計で810万円がかかります(下表参照)。これがすべて私立に通った場合、3倍弱の2288万円となるのです。子どもが1人ではなく2人、3人いれば教育費も2倍、3倍となり、家計に重くのしかかってきます。
●教育にかかるお金
幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高 校 | 大 学 | |
---|---|---|---|---|---|
公立 | 公立 | 公立 | 公立 | 公立 | 810万円 |
私立 | 公立 | 公立 | 公立 | 私立 | 1126万円 |
私立 | 公立 | 公立 | 私立 | 私立 | 1300万円 |
私立 | 公立 | 私立 | 私立 | 私立 | 1558万円 |
私立 | 私立 | 私立 | 私立 | 私立 | 2288万円 |
幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高校 | 大学 | |
---|---|---|---|---|---|
63万円 | 192万円 | 144万円 | 123万円 | 288万円 | 公立 |
149万円 | 922万円 | 402万円 | 297万円 | 518万円(理系) | 私立 |
※出典:幼稚園〜高校/文部科学省「こどもの学習費調査」(平成26年度)、大学/文部科学省「我が国の教育水準と教育費」
ただし教育費はこのお金が同時期に必要になるわけではなく、幼稚園の入園から大学卒業まで19年間に渡ってかかる費用です。ですから、いつ頃どれぐらいの資金が必要になるのかをあらかじめ把握して、早めに準備をしておくことが大事。入学の準備など、ある程度まとまったお金が必要なタイミングもあるため、無計画でその場しのぎの支出をしていると、肝心なときにお金が足りなくなったり、違う目的のために貯めていた貯蓄を取り崩すことにもなりかねません。
小中高が公立、大学だけ私立というのが最も多いケースですが、この場合は高校までの教育費は家計の範囲内でやりくりをして、大きな額が必要となる大学費用は貯蓄等で準備しておくことで、乗り越えられるでしょう。私立大学に進学する場合は、入学金などを含めた学費は4年間で400万円~600万円ほど。しかし遠方の大学に進学し親元を離れて一人暮らしをする場合には、生活費の仕送りなどもあるため合計1000万円近くかかる場合もあります。
中学から私立なら、教育資金作りはさらにしっかりと
中高から子どもを私立に通わせたい場合、さらにシビアに教育準備をしておかないと希望する学校に進学できない可能性もあります。私立の中学校に通うとなると、かかる教育費は3年間で402万円。公立のおよそ3倍です。そして私立受験をする際には何かしらの塾に通うことが多く、その費用もかさみます。通常は小学校時代までは教育にかかる支出がそれほど多くないため、この時期に集中して教育資金作りをすればよいのですが、中学校受験をするなら貯蓄できる期間が小学校前半までと非常に短くなってしまうことも。さらに、大学卒業後も就職ではなく大学院に進むケースも増えています。そうなると当初予定していた以上に教育費用がかかってくるのです。
大学費用は貯蓄と学資保険の両方で準備する
小中高と違って、大学は私立に進む人が約8割を占めます。ですから大学費用を用意することはどの家庭でも共通の課題といえますが、まずコツコツと教育費として貯蓄をしておくのは基本。小学校~高校が公立であれ私立であれ、出来る範囲で大学にかかる資金を貯めておく努力をしましょう。そして貯蓄以外で考えたいのが「学資保険」での備えです。
学資保険とは貯蓄性がある保険の1つで、17歳または18歳で満期金(学資金)を受け取れるというもの。種類はさまざまですが、大きくは保障重視型と貯蓄重視型の2つのタイプがあります。保障重視型は、保険料を払っている間に親が亡くなった場合に以降の保険料の払い込みが不要になり、育英年金が受け取れるといったもの。保障が手厚い一方で、保険料が割高になり、満期金が支払った保険料の総額よりも少なくなるといったデメリットもあります。本来の目的である教育資金作りという視点で選ぶなら、貯蓄重視型になりますが、貯蓄が少なく万が一に備えておきたいのであれば保障型、蓄えがある程度あるなら貯蓄型など、最適なものを選ぶとよいでしょう。
なお、教育費が足りない場合は奨学金でまかなえばいいと考える人もいるかもしれませんが、奨学金は昨今ニュースなどでも取り上げられている通り、子どもに大きな負担を課すこともあります。返済義務のない人を除くと、平均返済額は324万円、完済するのに約18年かかるのです。返済がのしかかり、その後の結婚や住宅購入などが思うとおりに行かないといったことが起こらないように、慎重に考えなければなりません。
以上のように、子どもの教育費は公立か私立かでも費用は大きく違い、その費用を捻出するためには貯蓄や学資保険などで計画的に準備をすることが大切です。お金が足りずに子どもの希望する進路に進ませてあげることができなかった…といった後悔がないように、早めに教育費のプランを立てるようにしましょう。