女性と保険

女性向け保険が多彩に

女性向け医療保険イメージ

女性向け医療保険は、通常の医療保険の他に、がんの保障や女性特有の病気、女性がかかりやすい病気に対する保障が充実しているのが特長です。
しかし、最近ではそれだけではなく、不妊治療や出産などに対する保険も発売されるなど、女性向けの保険が多彩になってきています。
今回は、そのような女性ならではの不安に対応できる保険について紹介をしていきます。

女性向け医療保険のキホン

女性向け医療保険は、乳がんや子宮がん、卵巣がん、子宮筋腫、卵巣嚢腫といった女性ならではの病気に対して手厚く保障をしてくれるタイプの保険が一般的です。例えばオリックス生命の「新キュア レディ」は、通常の病気やケガによる入院への保障にプラスして、女性特有の病気である乳がんや子宮内膜症、さらには帝王切開などの異常分娩に伴う入院に関しては1日に5000円を上乗せするという手厚い保障を展開しています。

他にも、乳がん治療後の乳房再建手術に対する一時金や乳がん治療後に再発防止のために治療として使用されることの多い放射線治療などに対する保険を備えている女性向けの医療保険もあります。女性系の疾病に手厚く備えておきたいという人は、自分のニーズにぴったりの商品を各社比較して選ぶといいでしょう。

出産や不妊治療に対する保険は少ない

また、女性特有のトラブルといった不安は、がんや病気だけではなく、妊娠・分娩による合併症や流産など、妊娠や出産によるものもあります。帝王切開などの異常分娩を保障している商品は多いですが、通常の出産や、不妊治療を保障対象としている保険は少ないです。

例えば、不妊治療です。望んでいてもなかなか子どもを授からず、不妊治療に踏み切った場合には経済的負担がかなり高いといわれています。厚生労働省が助成対象としている特定不妊治療(体外受精と顕微授精)に関しては、治療の段階によりますが、おおよそ20万~50万円程度がかかります。基本的にはそれに対して助成金として15万円(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については7.5万円、またいずれも初回は30万円)が助成されますが、もちろんそこに至るまでも診断や特定不妊治療以外の治療のお金もかかるのでしっかりと準備しておかなければ助成金だけでは賄えないのが現実です。

また、出産に関してはさまざまな公的サポート制度があります。妊娠期間中の健診は健康保険適用対象外ですが、妊婦健診を助成する補助券が14回分支給され、自治体によっては無料に近い形で受診できます。出産費用も出産育児一時金で子ども1人につき42万円が支給されるので、ある程度は公的サポート制度の範囲内でカバーできますが、それを超えた分は自己負担になってしまいます。出産に伴う入院費用に関しては、個別の個室代なども別途かかる場合が多いため、42万円では足りずに自己負担金を支払うこともあるので、出産に関してもある程度のお金を予め準備しておいた方がいいでしょう。

不妊治療に対する保険が誕生

そんな背景もあり、近年妊娠や出産に対する保障を備えた保険が発売されています。
例えば201610月に、日本生命が国内初となる不妊治療に対応する保険を発売しました。「ニッセイ 出産サポート給付金付き3大疾病保障保険シュシュ」は、がん・急性心筋梗塞・脳卒中などの3大疾病や死亡に対する保障はもちろん、出産給付金や特定不妊治療に対する保障も備えています。

日本生命「出産サポート給付金付き3大疾病保障保険シュシュ」

具体的には、出産給付金が1人目は10万円、2人目は30万円、3人目は50万円、4人目は70万円と徐々に上がっていき、5人目以降は100万円支給されます。また、特定不妊治療に関しては、1回目から6回目は1回につき5万円、7回目から12回目は10万円となっています(出産に関しては責任開始の日から1年経過後、不妊治療に関しては責任開始の日から2年を経過後に保障が開始される)。
通常の3大疾病を保障する保険に加えて、不妊治療や出産に対する保障も付いているため、新しいタイプの女性向け医療保険といえるでしょう。

出産の出費に備えた保険も

また、フコク生命も20164月に「医療大臣プレミアエイト」の「女性総合給付特約」を新設。
通常の8大生活習慣病や3大疾病に対する保障だけでなく、女性特有の病気に対して、入院一時金の5万円が加わり、さらに出産給付金として出産した子ども1人につき3万円が給付されます。また、満了時給付金は子どもを出産した場合、子ども1人分の出産給付金3万円が差し引かれますが、2人目以降は差し引かれないので、出産した子どもの数が多いほど給付総額が増える仕組みとなっています。

フコク生命「医療大臣プレミアエイト」の女性総合給付特則

 

また、これはミニ保険になりますが、ABC少額短期保険株式会社の「abcおかあさん保険」は、通常の病気に対する入院や異常分娩に対する保険のほか、「自然分娩による出産での入院」に対しても入院給付金を支給するという手厚い保障が付いています。(入院1日につき5000円、1入院30日まで保障。ただし保障開始後の妊娠に限る。保障開始日より前に妊娠していた場合にはその妊娠・出産に伴う入院は保障の対象から除外される)。

妊娠や出産は女性ならではの悩みや不安も伴い、経済的負担も少なくありません。このような悩みに対する保障も多彩になり、女性向け保険も女性が求める保障が備わったものへと変化を遂げています。