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スマホ片手に保険加入?オンデマンド保険とは?

オンデマンド保険のイメージ

私たちが大切にいている“モノ”に、必要な時だけかけられる保険が誕生しました。
手続きもスマホひとつで完結し、面倒な書類のやりとりも発生しません。この流れは私たちの生活はどのように変化をもたらすのでしょうか。
実例をもとに考えてみました。

日本初のオンデマンド保険がサービス開始

ITベンチャーのWarranteeは、デジタル家電や生活家電に1日単位で加入できるオンデマンド保険サービス「Warrantee Now」を2017年11月に開始しました。
従来のメーカー保証は製品を購入した時にしか加入できず、1年を過ぎると保証サービスが終了してしまうものがほとんどでしたが、Warrantee Nowは購入から時間が経っていても加入が可能です。
保証内容は自然故障のみならず、破損・汚損、水濡れにも対応します。さらに、2017年9月29日には紛失防止IoTデバイスを提供するMAMORIOと業務提携し紛失・盗難にも対応することを発表しました。

デジカメ、パソコンなどのデジタル家電なら1日(24時間)あたり39円から、エアコン、洗濯機といった生活家電などは同19円からと安価で加入できます。
加入時は、スマートフォンアプリから製品名や型番を選び、製品が壊れていないかチェックするための動画を撮影するなどして全ての手続きがオンライン上で完了します。
これにより、例えば山や海へレジャーに行くその日だけデジカメに保険をかけるといった利用が可能になります。

万が一製品に故障などが発生したらアプリで保険請求を行い、同等品への交換や修理が受けられます。
修理代金は同社と組む東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、あいおい同和損害保険の3社の損保会社が代わりにメーカーに支払う仕組みです。

オンデマンド保険は世界的に拡大中

このようなオンデマンド保険は海外で誕生しました。
2012年に米国カリフォルニアで設立されたベンチャー企業Trovが世界初となるオンデマンド保険アプリ「Trov」の提供をスタート。スマホやデジカメ、家電製品を始め、自転車や楽器など幅広く保険に対応しています。
米国のほか、イギリス、オーストラリアなどでも提供を開始し、若者を中心に利用者が拡大しています。2017年6月には損害保険ジャパン日本興亜が、独ミュンヘン再保険や米損害保険会社などと共同で50億円を出資したと発表しました。今後、日本でも導入が検討されており、オンデマンド保険のさらなる拡大が予想されます。

「インシュアテック」で保険が身近な存在に

オンデマンド保険のような新しい保険サービスは「インシュアテック(InsureTech)」の一例です。インシュアテックとは、「インシュランス(保険)」とテクノロジーを掛け合わせた造語で、ITを活用して従来の保険では実現できなかった商品やサービスを提供する取り組みのことです。
2015年12月に第一生命保険が「InsTechイノベーションチーム」、2016年4月にSOMPOホールディングスが「SOMPO Digital Lab」、2017年7月に楽天生命保険が「楽天生命技術ラボ」を発足し、各社インシュアテック分野で新しい保険商品やサービス、業務の効率化などの研究・開発を進めています。

インシュアテックの普及により、保険はどんどん細分化されていくでしょう。
ウエラブル型センサーやスマートフォンアプリなどを利用すれば加入者の運動量、心拍、体温、睡眠時間、食事内容といったパーソナルデータから、健康状態に則した保険料を算出することができるようになります。
自動車保険ではすでにカーナビやアプリを利用して、走行距離だけでなく速度や急発進などの運転行動の分析によって保険料が変動する保険が誕生しています。

また、加入時や給付金請求時の書類郵送の手間を省いたペーパーレス化・即時化の動きも目立っています。
ネット生命保険の先駆けであるライフネット生命保険は、2016年12月から加入手続きがオンライン上で完結するサービスや、同年3月からは医療保険の給付金請求時にスマホがあれば手続きが完了するサービスを始めています。

販売する側も、技術革新で次々誕生する新商品をキャッチアップする重要性が増しています。
インシュアテックによる改革が進むほど、保険はよりパーソナルでオンデマンドなものに進化していくでしょう。スマホ片手にいつでもどこでも保険加入が当たり前の時代がくるのかもしれません。