知っておきたい公的保障

自然災害に備えたお金と保険の準備

自然災害から生活を守るための、リスク管理とは?お金の準備や生命保険・損害保険の確認についておさえておきましょう。

緊急予備資金の準備と加入中の保険を確認する

今年の冬は北陸地方を中心に猛烈な寒波の影響による豪雪で多くの人的、物的被害がでています。また、夏ともなれば地球温暖化による影響で、毎年のように記録的な猛暑やゲリラ豪雨が発生し、異常気象による自然災害が多くなっています。
そういった中、年金が主な収入になる定年後は、自然災害に備えたリスク管理も大切です。災害に遭った時にでも早期に生活を立て直すことができるよう、経済的な準備や生活再建のための方法を知り、事前に準備をしておきたいものです。
自然災害に備えてやっておきたいことは3点。
「緊急予備資金の準備」「生命保険の保障内容確認」「損害保険の補償内容確認」です。
●緊急予備資金の準備
緊急予備資金は、定年後に予定しているイベントに必要なお金とは別に、何か起きた時にいつでも使えるようにしておく「使いみちの自由なお金」のこと。被災した際に、一時的に避難している間の食料品や日用品、交通費・宿泊費などに利用することが考えられます。
準備する金額の目安は人それぞれです。目安としては、毎月の生活費の半年から1年分は準備しておきましょう。生活費が25万円であれば、150~300万円が目安になります。
緊急予備資金は、いざという時にすぐ使える状態にしておく必要があります。銀行などにすべて預けておくと、災害の状況によってはすぐに引き出せないこともあります。一部は手元に持つなど、お金の置き場所を分散しておくことも大切です。
●生命保険の保障内容確認
被災した時の死亡、けがでの入院費用に備えて、いま加入している生命保険でどのような保障があるのかを事前に知っておきましょう、生命保険や医療保険で受け取る保険金や給付金は、いざという時には経済的な支えになります。
・誰が保険に入っていて、保険金の受取人は誰なのか
・世帯主が死亡した時でも残った家族の生活費として保障は十分か
・入院した時や手術を受けた時にはどれくらいの保障があるのかなどを、保険証券や約款などを見ながら調べてみましょう。自分だけでは難しければ、保険代理店やファイナンシャルプランナーに相談してみるのも一つの方法です。
●損害保険の補償内容確認
自然災害が起きた時、住まいや家財の損害に対して補償してくれるのが、火災保険や地震保険です。火災保険は、火事だけではなく床上浸水や、屋根が飛ばされたなど自然災害の損害でも補償されます。
気を付けておきたいのは、火災保険に水災補償が付いていないケースです。河川が近くに無いからといって安心とはいえません。例えば、豪雨で裏山に土砂崩れが起きて家がつぶされた時には、水災補償がないと保険金が出ません。最近では、都心部でもゲリラ豪雨でマンホールから水があふれ、浸水するケースもあります。水災補償を付けるかどうか迷った時には、自治体が発行している「ハザードマップ」などで、水害の危険度を見ることができますので参考にするとよいでしょう。
火災保険で建物だけにしか補償をかけていなければ、家財にも保険をかけておきましょう。家電や家具などの生活用品の損害すべてを現金で賄うことは、年金収入がメインとなる老後の家計には大きな出費になります。
もうひとつ大切なのは地震保険。火災保険だけでは、地震が原因となって火災が起きた時や津波で家が流された時の補償はありません。地震被害に備えるためには別途地震保険に加入しておくことが必要です。火災保険とセットで入るのが基本ですが、途中から加入することもできます。
地震保険の補償額は、火災保険金額の半分が上限。保険金の支払いは損害の程度によって5%・50%・100%と決められています。
公的な被災者支援制度についても知っておこう
自然災害で被災した時のために、国が用意する各種の支援制度があります。
死亡や障害を負った時の弔慰金・見舞金、生活を再建するための資金支援など、さまざまな制度が用意されています。その一部を見てみましょう。

災害で住宅が全壊・半壊するなど、大きな被害を受けた世帯の生活再建のために、支援金を支給する制度です。住宅の被害の程度に応じて支給される「基礎支援金」と住宅の再建方法に応じて支給する「加算支援金」があります。
●災害弔慰金
災害により死亡した人の遺族(配偶者や子どもなど)に支給される弔慰金です。生計維持者が死亡した場合は500万円が、その他の者の死亡では250万円が支給されます。
●災害援護資金
災害でけがをした人や、住宅や家財に損害を受けた人に対して、生活の再建に必要な資金を借りることのできる制度です。世帯主に1ヵ月以上の負傷があり、住宅が全壊した場合は350万円まで借りることができます。世帯の人数に応じて所得制限があります。

被災者生活再建支援制度