知っておきたいお金の話

相続対策してますか?

相続対策のイメージ

相続対策で大事なのは、節税と納税2つの対策。また、遺された家族が相続で揉めないように、前もってできることは?

相続の権利は誰にどれだけ?相続税は?

相続の場面は、突然訪れるかもしれません。誰にどう相続させたいか、相続税がどのくらい掛かりそうかなど、あらかじめ整理しておけば、家族はあわてずにすみます。
基本的に、相続人は配偶者と子です。子や孫がいなければ、配偶者と父母。子や孫、父母や祖父母のいずれもいなければ、配偶者と兄弟姉妹が、法定の相続割合で相続します。
相続財産が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。基礎控除額は、3000万円と法定相続人1人あたり600万円を合計したものです。たとえば、相続人が妻と子2人の場合なら、基礎控除額は4200万円です。借入れや葬儀費用などを除いた残りの額に相続税がかかります。税率は財産額に応じて決まり、10〜55%です。

法定相続の順位の図

相続税対策とともに納税対策も忘れずにしておく

相続を考えるとき、「節税」と「納税」の2つの対策が必要です。

●節税対策
相続税の節税方法は、大きく2つあります。1つは「生前贈与をする」、もう1つは「財産の評価を下げる」方法です。あらかじめ工夫して贈与しておけば、相続税を少なくできます。年間110万円までなら贈与税はかかりません。コツコツと贈与を続ける方法や、まとまった額(住宅資金や教育資金など)を一度に贈与できる制度を利用すれば、ある程度の財産を減らすことはできます。
また、生命保険金として受け取る額は、相続人1人につき500万円まで、そもそも非課税です。子などを受取人にし、現金を一時払いの終身保険などにしておけば、財産を減らすことにつながります。
財産の評価を下げる方法としては、更地にアパートを建てる方法などがあります。小規模宅地等の特例が適用され、土地の評価額を最大80%減額できます。また、現金を賃貸物件に替えることで、「貸家」となり評価は下がります。使える方法を組み合せれば、事前の対策にできます。

●納税対策
納税資金の確保も、忘れてはなりません。たとえば、相続したものが自宅だけの場合などは、納税用の現金がなく、トラブルのもとになります。現金を残せない場合は、「物納用の土地を残す」「死亡保険金や死亡退職金を充てる」などの計画をたて、納税資金を確保しておくことが必要です。
よくある「資産は自宅だけ」家族が困らないためには?
財産は自宅だけで、預貯金などはあまりない場合が、もっともトラブルになりがちです。不動産は分けることが難しい財産だからです。このような人は、納税費用まで考え、分け方を決めておく必要があります。
分ける方法は3つ。
「現物分割」は、1人の相続人に、そのまま自宅を相続させます。共有といって、登記のうえでは複数人に分けることもできますが、後でもめる原因になるので避けたいところです。
「換価分割」は売却したお金を相続人でわける方法です。平等にわけることはできますが、すぐに希望の値で売却できるとは限りません。
「代償分割」は、家を相続した1人が、残りの兄弟などに、相続分に見合う現金を支払う方法。ただ、現金の用意が難しいなど、それぞれ一長一短あります。
また最近は、自宅を相続したものの、誰も住まず、空き家になってしまうケースも増えています。「特定空き家」に指定されると、更地と同等の固定資産税がかかります。また、老朽化すれば、修繕・取り壊しの費用もかかります。
将来、誰も住まない自宅なら、相続の前に対策しておくべきです。たとえば、地方の一戸建てを売却し、都心の小さめのマンションに買い替え、残りの売却資金を納税用に残しておくといった対策などです。
また、「空き家バンク」(各自治体が運営)や「マイホーム借上げ制度」(移住・住みかえ支援機構)を利用し、自宅を貸し出す方法もあります。早いうちから、家族で話し合っておきましょう。

家族が揉めないためには「」が有効

相続対策でいちばん大事なのは、残された家族が揉めないようにしておくことです。そのために有効なのが、「遺言書」です。 財産の分け方を示しておけば、相続はスムーズです。あわせて、財産を分けやすくしておくことも重要です。
遺言書には「自筆証書遺言書」「公正証書遺言書」「秘密証書遺言書」の3つの形式があります。遺言内容を確実に実現できるのは、公正証書遺言書ですが、それぞれに特徴があり、手間や費用も違います。自分に合ったものを選びましょう。
また、財産は平等に分けることも大切。多く与えたい人がいる場合は、他の相続人が納得する理由も必要です。自分の想いや、それぞれの相続人に対する思いやりの言葉を添えておくとよいでしょう。

遺言書の種類の図