その他

今話題の「PET検査」って何?

PET検査イメージ

日本人の3人に1人ががんで死亡

日本人の死因第1位である「がん」。今や日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡するといわれています。
そんな「国民病」ともいえるがんですが、対策の鍵となるのが早期発見・早期治療です。全国がんセンター協議会発表の「部位別臨床病期別 5年相対生存率(2006〜2008年 診断症例)」によると、男女ともに死亡者数が多い気管・気管支・肺のがんでは、ステージ1ではおおむね80%以上ある生存率が、ステージ4になると10%以下にまで低下します。
近年死亡者数が増加している女性の乳がんでは、他の部位のがんよりも長い10年の経過観察が必要とされており、同じく全国がんセンター協議会発表の「部位別臨床病期別 10年相対生存率(2000〜2003年 診断症例)」によると、ステージ1では95.0%ある生存率が、ステージ4になると14.5%へと低下します。やはり、早期発見・早期治療することががん克服には重要だと言えます。

がんの早期発見に役立つ「PET検査」

がん検査には様々な方法がありますが、がんの早期発見ができると近年注目が集まっているのがPET検査です。PETとはPositron Emission Tomography(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)の略で、「陽電子放射断層撮影」と訳されます。
がん細胞は、正常な細胞より代謝が活発で、ブドウ糖を多く取り込むという性質があります。PET検査では、ブドウ糖と放射線を出す物質を結合させた薬剤を、患者に注射します。
代謝が活発ながん細胞が薬剤を多く取り込むので、薬剤が多く集まった場所の放射線を検知することでがんを発見できるという仕組みです。また、CTと併用することで、PETだけでは特定しづらい詳細な部位や形まで特定することができるため、CTを併用したPET/CT検査が主流となっています。

がん検査として一般的によく知られている検査にCTやMRIがありますが、これらの検査では、がんのある部分を特定して検査することしかできません。一方のPET検査では、全身のがんを検査することができるため、まだ自覚症状のない早期のがんも発見することができるのです。

PET検査のメリット

PET検査のメリットは、従来の検査に比べて、初期の小さながんでも発見できる点です。特に、肺がん、咽頭や喉頭などの耳鼻咽喉科系のがん、大腸がん、悪性リンパ腫などはPET検査で発見しやすいとされています。
また、体内のがんの広がりが一目でわかるため、手術するのか、抗がん剤治療を行うのかといった治療方針を決めやすいこと、予期していなかった転移を発見しやすいといったメリットもあります。さらに、検査方法は投薬後、横になって全身をスキャンするだけと、身体的負担、精神的ストレスが軽いのも特徴です。

PET検査のデメリット

もともと多くの糖を消費する脳や心臓、投与した薬が尿として排出される径路である腎臓、泌尿器系などのがんはPET検査では見つけづらいとされています。
また、罹患率の高い胃がんも残念ながらPET検査では発見しにくいため、X線検査や内視鏡検査など他の検査も合わせて受けた方がいいとされています。
その他のデメリットとしては、費用が10万円前後と高額な点、わずかながら被曝する点などが挙げられます。PET検査で受ける放射線の量はわずかで、ほとんど人体には影響がないとされていますが、妊婦、妊娠の可能性がある人は受けることができません。

多彩なPET検査プラン

PET検査は、検査機関によって様々なプランが用意されています。中でも近くに検査を受けられる施設がないという人に人気なのが、リゾートホテルや温泉旅館での宿泊とセットされているプランです。
PET検診も受けられて観光ツアーや温泉が同時に楽しめると、日本人だけでなく中国やロシアといった近隣諸国からの渡航者も多いそうです。
また、夫婦で検査を受けると料金が安くなる夫婦割引や、プレミアムフライデー割引など、通常よりも割安で受診できるプランを用意しているところもあります。
受診の際はこういったお得なプランを探してみるといいかもしれません。

がん対策、まずは予防から

高齢化によって生涯罹患率が高まり、より私たちの身近な病気となっているがん。今回紹介したPET検査を筆頭に、医療技術の進歩で早期発見しやすくなっています。
とはいえ、PET検査は保険適用が認められない場合も多く、高額で誰もが簡単に受診できるものではないのも事実です。
もちろん、定期的な検診は大切ですが、がんは禁酒・禁煙、食生活の見直しなどである程度予防できる病気でもあります。
がん対策は、まずは予防から。生活習慣を改善し、がんになりづらい健康な身体を目指すことから始めましょう。