年金は何歳からもらえるのか? もらえる金額の目安は? 老後家計の基盤となる公的年金の内容をおさえておきましょう。
公的年金は2階建ての制度
会社員は国民年金と厚生年金
公的年金は、老後生活の支えになる大切な収入です。定年後、どのような年金を受け取れるのかを把握しておきましょう。
公的年金には「国民年金」と「厚生年金」の2つがあります。
国民年金は「基礎年金」ともいわれ、文字通り年金の土台となるものです。20歳以上60歳未満のすべての国民が加入します。加入者は、職業や加入手続き、保険料の支払い方法などによって3つに分けられています。
自営業者や学生などは「第1号被保険者」、会社員や公務員は「第2号被保険者」、会社員など第2号被保険者の配偶者(専業主婦など)は「第3号被保険者」です。
厚生年金は、会社員や公務員の人が国民年金とともに加入する年金です。また、会社員には勤務先の制度によって、厚生年金に加えて、独自に企業年金制度を設けていることもあります。公的年金に上乗せしてより多くの年金を受け取れます。公的年金から支給される年金には「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3種類があります。このうち、老後に支給される年金が「老齢年金」です。原則として25年以上(※1)保険料を支払うと、国民年金から「老齢基礎年金」が、厚生年金からは「老齢厚生年金」が支給されます。
年金支給は原則65歳から
厚生年金は加入期間と報酬で決まる
では何歳から年金を受け取れるのでしょう。公的年金は、原則として65歳からの支給です。かつては定年に合わせて60歳から支給されていましたが、現在、段階的に支給開始年齢が引き上げられています。
例えば、男性で昭和28年4月2日以降生まれの人は、支給開始年齢は61歳からとなり、徐々に支給開始年齢は引き上げられています。最終的に、男性昭和36年4月2日、女性昭和41年4月2日以降生まれの人は65歳からの支給です。ただし、自営業者など国民年金のみ加入していた人は、性別・生年月日に関係なく支給は65歳からになります。
今後、高齢化が進むと支給開始年齢がさらに引き上げられていく可能性もあります。最近では、60歳で定年を迎えても、引き続き65歳まで働ける環境が整ってきています。定年後、公的年金を受け取るまでの期間を働かなければ収入が途絶え、大切な退職金を取り崩すことになりかねません。年金支給を待つのではなく、元気なうちは働いて収入を得ることも検討しましょう。
気になる年金額。公的年金だけで生活できる?
支給開始年齢と共に気になるのが、「年金をいくらもらえるのか?」でしょう。会社員の人は、前述の通り「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」が支給されます。
老齢基礎年金は、原則として25年以上保険料を納めた人に支給されます。20歳から60歳までの40年間フルに保険料を納めた人は満額が支給され、年額で78万100円(平成28年度)、月額にすると約6万5000円です。保険料を納めた期間が40年に満たない人は、その期間に応じて年金額は少なくなります。
一方の老齢厚生年金は、老齢基礎年金の上乗せとして支給されます。いくら支給されるのかは、厚生年金の加入期間や加入期間中の報酬で決まる仕組みになっています。
そのため、支給額は人によりさまざまですが、老齢年金の平均月額は15.6万円です(※2)。
老齢年金をいくらもらえるのかの見込額は、年に一度、誕生月に届く「ねんきん定期便」で確認することができます。ねんきん定期便は、国民年金・厚生年金の加入記録や、これまでの保険料納付額などを確認するためのものです。50歳以上の人に送られる「ねんきん定期便」には、これまでの年金加入記録と共に、今後も同じ条件で60歳まで国民年金や厚生年金に加入した場合の老齢年金の見込額が記載されています。
老齢年金の見込額などは、インターネットでも知ることができます。日本年金機構の「ねんきんネット」に登録すると、24時間いつでも最新の年金記録を確認できます。
過去の年金加入記録や、職業が変わった時などの、年金受給額を試算することもできます。「ねんきん定期便」をなくしてしまった人や、ねんきんネットを利用する環境がない人は、近くの年金事務所などでも、年金見込額も試算や年金に関する相談ができますので利用しましょう。
※1平成29年度より10年に短縮予定
※2厚生労働省年金局「平成26年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
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