セカンドライフ

老後の住まいは今のままでいい?

    マイホームイメージ

    リフォーム・買い替え・賃貸など、老後の住まい方はいろいろ。メリット・デメリットを理解し、方針を立てておきましょう。

    「家族」「健康」「お金」で老後の住まい方は変わる

    住まいは、暮らしを営む大切な拠点。老後こそ、自分が望む住まいで暮らしたいものです。子どもの独立や定年をきっかけに、必要な間取りや住みたい場所も変わってきます。厚生労働省の平成27年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は、男性が80・79歳、女性が87・05歳。長い第二の人生、どんな住まいで、どのように暮らすかは大事な問題です。年老いてからの住み替えや買い替えは、気力も体力も奪われます。早いうちに計画し、準備していきましょう。

    ●「リフォーム」「建て替え」

    子どもが独立する頃には、マイホームを建てて20年以上経過しているケースも多いでしょう。これから30年ほど住み続けるには、傷んだ箇所の修繕や、老後の体の機能に合わせたリフォームが必要です。屋根や外壁、水回りなどの大掛かりなリフォームには、200万~300万円の費用が掛かります。複数のリフォーム業者に見積もりを頼むことがコツ。費用を出すのが苦しいときは、各市町村の「住宅リフォーム(資金)助成制度」や、住宅金融支援機構の「高齢者向け返済特例」といった制度もあります。利用できるか調べてみましょう。
    一方、修繕の度合いによっては、建て替えの方が経済的な場合もあります。住宅ローンの借入れをする場合は、年金生活でも無理なく返し切れるかどうか、シミュレーションが必要です。
    また、現在のローンが残っていると、借入れそのものが難しい場合もあります。住居費の負担を抑えるには、二世帯住宅にして、子と資金を出し合うという方法などもあります。その際は、いくらずつ負担するかなど、子世代としっかり話し合うことが必要です。

    ●「買い替え」

    今の家を売り、新しく買い替える方法もあります。買い替えなら、車なしで暮らせる駅近のマンション、庭造りができる田舎の家など、住まい方の選択肢は増えます。建て替え同様、残りローンがある場合は、専門家に相談し、早めに資金計画しましょう。仮住まいをしなくて済むように売却と購入のタイミングを合わせることもポイントです。
    また最近では、不動産や物価の安い海外へ移住する人も増えています。限られた老後資金の範囲で、豊かに暮らす選択肢の1つといえます。

    ●「賃貸」

    賃貸住宅は、定年後の勤め先や健康状態などに合わせ、自由に住み替えしやすいのがメリットです。反面、家賃の支払いはずっと続きます。また、収入が少ない場合や1人暮らしの場合には、入居を断られるケースもあります。気軽な反面、先の不安を抱えやすいともいえます。

    ●「介護施設」「高齢者向け住宅」など

    健康に不安を感じたら、介護サービスを受けられる施設や、高齢者向けの住宅に住み替えると安心です。もらえる年金や貯蓄の額によって、入居できる施設は変わります。比較的費用の負担が少ない公的施設は、希望者も多く、必要なタイミングで入居しづらい状況です。元気なうちに、介護期の住まいの候補を絞っておきましょう。

    住まなくなった家は売る? 貸す?

    近年、空き家問題が深刻化しています。住まなくなった家は、迅速に「売る」「貸す」の手続きを進めましょう。子世代へのお荷物にしないためです。

    ●売却する

    売却資金があれば、住み替え費用や、日々の生活費にゆとりも出るでしょう。とはいえ、希望の価格で売れるとは限らず、ローンが残るケースもあります。売却の時期を慎重に見定める必要があります。

    ●貸し出す

    家を貸し出せば、家賃をローンの返済、ホームの入居費、生活の余裕資金に充てることができます。たとえば、移住・住みかえ支援機構の「マイホーム借上げ制度」を利用した場合、終身もしくは一定期間、家を借上げ一定の賃料を保証してもらえます。家賃は相場より低めの設定ですが、空室のリスクがなく、収入も安定します。

    お金を生む家「リバースモーゲ―ジ」で豊かに暮らす

    「リバースモーゲージ」は自宅を担保に、必要な資金を借入れできる制度です。たとえば、生活費、医療費、リフォーム、借り換えなど使いみちは自由。融資金は返済する必要はありません。契約者が亡くなったときに、自宅を売却し清算するしくみです。旅行や趣味の資金なども対象なので、セカンドライフを豊かに楽しむこともできます。
    借入れの限度額は、自宅の担保評価をもとに決まります。長生きした場合、借入れが上限に達してしまうと、それ以上借入れできないなど、注意点もあります。融資の対象は、土地付き1戸建てがほとんど。手続きには相続予定の子などの同意が必要です。制度の存在を知っておくだけでも安心です。