セカンドライフ

老後に備えた家計の見直し

    家計のダイエットイメージ

    定年後は収入が減ります。現役のうちに、家計のスリム化を。老後に必要なお金の目安も確認し、予算取りしておきましょう。

    わが家の「資産」と「負債」を書き出すことから

    厚生労働省の発表によると、夫婦二人世帯の標準的な年金額は、平成28年度でおよそ22万円(厚生年金+夫婦2人分の老齢年金)。
    老後の生活費を、年金だけで賄うのは厳しそうです。多くの人が、老後のお金に不安を感じるのは、貯蓄が少ないからというより、わが家の資産状況を把握できていないためでしょう。不安な気持ちを解消する第一歩として、まず家計の棚卸しをしてみましょう。「資産」と「負債」を書き出し、全体を把握する作業です。「資産」は現金や預貯金ばかりでなく、株式、投資信託などの投資商品や、学資保険、個人年金といった貯蓄型の保険商品、またマイホームなどの不動産や車なども含んだものをいいます。
    いずれも、購入した価格ではなく、いまの時価で計算します。合計した額がわが家の今の「資産」です。一方、「負債」は、借入金や未払い金のこと。住宅ローンが代表的ですが、教育ローンやカーローン、カードローンなどの借入れもすべて負債です。
    また、クレジットカードの未払い金なども、負債にカウントします。わが家の「本当の資産」は、これら資産から負債を引いた額です。いくら多くの貯蓄があっても、借入れも多ければ、老後のお金が足りなくなることもありえます。資産の一覧表を作ってみると、気づいていない家計の弱点が発見できます。
    早い時期に把握できれば、いくつかの改善方法の中から対応策が選べます。定年までに、借入れを減らしておく、貯蓄を積み上げるなど、自分が取り組みやすい方法で、定年後の収入減に備えましょう。

    「家計のダイエット」は現役のうちに済ませておく

    定年後に向け、現役のうちに家計の見直しに取り組みましょう。収入が減っても、毎月のやり繰りに余裕をもたせておくためです。総務省「家計調査(二人以上の世帯)」によると、無職世帯の1カ月の支出はおよそ26.5万円(平成28年4月)。仮に、もらえる年金が月額20万円なら、毎月6.5万円の赤字です。見直しは、効果的にコストダウンできそうなものをピックアップすることから始めましょう。
    スタートは3大固定費の見直しから。マイナス金利政策下のいま、住宅ローンの見直しは必須。住居費は家計の中でも、存在感が大きい項目です。面倒でも1度手続きすれば、家計費を減らす効果は続きます。生命保険などの保険料見直しも同じです。子どもの成長とともに、死亡保障額は小さくできます。また、医療保険についてもこれまでの貯蓄で医療費がまかなえるなら、加入を続けないという選択肢もあります。
    他にも、使っていないのに利用料だけが引き落とされているものなどを整理すれば、小さいようでもダイエット効果につながります。日常では、予算の範囲内で暮らすことに慣れておくことも大切。収入が半分になったとしても、大きく貯蓄を取り崩さずに済むよう、スリムな家計にしておきましょう。

    定年後に必要なお金は?足りない場合どうする?

    つぎに、定年後に発生するイベントと必要な額を書き出してみましょう。たとえば、毎年の年金不足額120万円(1カ月10万円)、子どもの結婚援助費200万円、家のリフォーム費300万円というように、具体的な数字で見つめてみると、現実に向き合え、対策も取りやすくなります。 年金と貯蓄でまかなえない場合は、毎年の旅行回数を半分にする、車のグレードを落とすなど、これまでの生活水準を下げることも必要です。 会社員の場合、退職金は老後の生活に大きな影響を与えるもの。会社の退職金制度がどのような内容か、しっかり事前に把握し計算しておく事が大切です。 また、年金の受給後であっても、1日でも長く働くことができれば、年金や貯蓄の不足分を補うことができます。
    とはいえ、よほどの専門職でない限り、現役時代の肩書きは通用しないもの。早いうちから、定年後の働き方をイメージし、必要なスキルを磨いておくことも大事です。
    すでに、老後やりたい仕事のある人は、少しずつ働き方をシフトしていけば、収入がダウンする期間が短くて済むでしょう。
    老後に向けて、現役時代の人脈や、地域とのかかわりを大事にしておくことも大切です。
    また、この先、最も忘れてはならないのはインフレです。もはや預貯金や年金保険ではインフレに対し実質目減りする時代。外貨建や投資性の金融商品、不動産投資も視野に入れて未来の老後対策を始めましょう。
    法改正により、確定拠出年金(DC)は、会社員・自営業の方以外に主婦や公務員など現役世代のほとんどの方が利用可能になります。この大改革をうまく利用すれば、老後のための資産運用はもちろん、節税効果による家計費のダイエットにつながるケースもあります。我が家の場合はどうなのかを知りたければ、DCプランナーやお金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談してみるとよいでしょう。